@article{oai:sapporo-u.repo.nii.ac.jp:00002452, author = {檜山, 純 and ヒヤマ, ジュン and Hiyama, Jun}, issue = {1}, journal = {経済と経営}, month = {Nov}, note = {P, 証券諸法のうちの1933年証券法と1934年証券取引所法を会計開示に関するものとして特別視するのではなく,Pecora調査とそれに対応する1940年投資会社法に至るまでの連邦証券諸法の一部として理解する必要がある。連邦証券諸法は,公益のために公正な市場を確保することを目的として各関係者の責任を規定し,そのために各関係者に対してSECへ書類を提出させ,間接開示を行わせるとともに,証券業者,投資顧問や投資銀行に詐欺や相場の操縦,不公正な市場慣行を禁止し,投資者が意思決定を行う際の市場のインフラを整備することを試みている。したがって,規制の三目的の関係を整理すると,「公益」のために「公正で秩序ある市場を確保」して証券市場を維持し,資本主義経済の回復を試みるものであり,公正で秩序ある市場を確保するために詐欺や株価操作によって損失を被る「投資者を保護」するものと考えられる。アメリカの証券市場における投資者保護を端的に述べるならば,投資者の間の不公正をなくすことであり,アメリカ合衆国全体の公益を守るための公平で秩序ある市場を確保する範囲内で,限定的に保護するものであると結論づけられる。証券市場における投資者保護は公益に資する範囲に限定されており,その趣旨にもとづくと投資者は投資で損失を被らないよう投資利益を保証されるものではない。情報の偏在をなくすために売り手にも注意させるのであって,自由経済人としての買い手の注意は依然として要求されたままである。このことは間接開示を中心とし,投資者は意思決定に利用できる情報を入手する機会を得たにすぎない規制の仕組みから明らかである。投資者を保護するために会計開示が行われているのは,情報の格差による不公正な損失を防止するためであり,会計開示は公正で秩序ある市場を確保するための一手段にすぎない。開示が公平に行われる限りにおいて,開示する内容の詳細は経営者に委ねられている。Form 10KなどのSECへの提出書類以外の情報を自発的に開示する際の潜脱防止のため,口頭を含む情報も含めて保護の対象とされている。証券諸法の立法目的である「公正で秩序ある市場の確保」と「公益および投資者の保護」の関係は,公益のために公正で秩序ある市場を確保し,そのために投資者を保護するというものであった。証券諸法における投資者保護とは,投資者が意思決定を行う際に投資者間で不公正とならない市場を確保することである。会社はSECへ重要な情報を提出し,SECが受理した報告書を投資者は利用することができる。これによりようやく一般の投資者は証券に関する一定の情報を入手する機会を得,不公正な情報格差から解放される機会を得た。年次報告書の中心となる財務諸表は会社の負担で監査に付され,さらにSECに審査される。SECへの提出書類に加えて,経営者や証券業者などが虚偽の情報を流布した場合にも,証券諸法とその諸規則,特に1934年証券取引所法規則第10条(b)-5によって投資者は保護される。このため,投資者保護のための会計開示は,単なるForm 10Kにとどまらず,投資者が入手できる情報すべてに拡大されている。本稿により,強制開示の始点となる1933年証券法および1934年証券取引所法の立法趣旨を連邦証券諸法全体の関係の検討によって明らかにした。すなわち,両法は国益のために不公正な市場を是正するためのものである。したがって両法の意図している会計開示は,アメリカの国益を守るために公正な証券市場の秩序を維持し,その一手段として投資者を保護することを目的としたPecora調査とその勧告にもとづいたものであった。会計情報に関する具体的な内容の検討,同時期に会計士らが推進していた財務諸表の公開との相違については今後の研究課題である。}, pages = {115--128}, title = {投資者保護と会計開示}, volume = {37}, year = {2006} }